はじめに、水稲部会副部会長の田代速夫さんに、お米作りへの想いやこだわりについてお話を伺いました。
ー簡単に、自己紹介をお願いいたします。
はい、私は田代速夫と申します。(所有している田んぼは)面積でいうと4町歩、4ヘクタールくらいでしょうか。ほとんど農協へ3分の1出し、昔から買ってくれる方が3分の1、あと残りは農協の直売所(ファーマーズ御殿場)で売っています。
ーお米作りを始めて何年くらいですか。
私は、勤めをやっていたので、55歳から56歳くらいですね。本当にやり始めたのは。それまでは手伝いという形でやっていました。本格的にやり始めて、今17年くらいでしょうか。

ー地球温暖化が進む中で、御殿場の米作りにどのような影響が出ると考えますか?
御殿場は比較的恵まれています。穂が出てから20日間の平均気温が26度以上になると未熟米が増えるのですが、御殿場は今のところクリアしています。ただ、温暖化が進むとどうなるかわかりません。
ーそんな中でも、田代さんのお米は評価されていると伺っています。
評価されているのは、たまたまだと思います(笑)。ただ、コシヒカリ以外にも「ゆうだい21」「いのちの壱」を育てています。「ゆうだい21」は、宇都宮大学が長年かけて開発した品種で、食味鑑定コンクールで高評価を得ています。
ー「ゆうだい21」「コシヒカリ」「いのちの壱」の美味しさの違いはありますか。
コシヒカリはふっくらしており、甘みがあります。「ゆうだい21」はもち米のような粘りがあり、冷めても美味しいです。「いのちの壱」は粒が大きく、もちもちしています。この2つは箱根の高級旅館でも使用されています。
ーお米作りのこだわりポイントはありますか。
お米作りは趣味のようなものですが、面積が大きいため、肥料にはこだわっています。微量要素(ケイ酸、硫黄、カルシウム、マグネシウムなど)を厳選して使用し、品質向上に努めています。

ー御殿場は水がおいしいイメージがありますが、お米の美味しさにも関係していますか。
そうですね。清らかな水に加え、昼夜の寒暖差が品質に良い影響を与えています。これらの条件が揃っているからこそ、美味しいお米が育つのです。
ー農業を続ける中で、どんな瞬間が楽しいですか。
収穫して、新米を食味計で計測し、食べ比べる時が楽しいですね。「ゆうだい21」は炊き上がりがピカピカで、美味しいです。また、お米コンテストに参加し、全国の農家と交流するのも楽しみの一つです。
ー「食と酒のフェスティバル」に向けて、地元の魅力を教えてください。
御殿場のおすすめスポットは、246号バイパス上から見る逆さ富士です。田植え後の水田に映る富士山は、まるで鏡のように美しい景色を作り出します。

御殿場の地で育まれる「歓喜の風」
また、御殿場で「歓喜の風」を生産されている農家さんに、お米作りのこだわりや魅力についてお話を伺いました。
ー「歓喜の風」は数々のコンテストで受賞されていると伺っています。評価されている理由を教えてください。
「歓喜の風」は、元々「絹光」という品種に代わるものとして開発されたお米です。高温耐性があり、多収で良食味の特徴を持っています。
特別に突出した美味しさというより、いつ食べても安定した品質を保てるのが魅力です。しかし、御殿場の気候や水との相性が良いため、他の地域で作るよりも美味しく仕上がります。
ー他で作るよりも御殿場で作ると美味しい理由は、気候や水にあるのですね。
はい。御殿場の冷涼な気候と豊富な伏流水が、「歓喜の風」の美味しさを引き出しているのだと思います。
ーお米作りでこだわっている点を教えてください。
富士山の麓という環境を活かし、伏流水を使って育てています。昼夜の寒暖差が大きい時期にしっかりと登熟させることで、より美味しいお米になります。
また、水管理には特にこだわり、生育に合わせて深水・浅水を調整したり、収穫時期まで水を入れることで品質向上を図っています。
ー3月22日のイベントは、御殿場市政70周年を記念したものですが、70周年についてどのように感じていますか。
私自身、70年前には生まれていませんが、写真を見比べると御殿場の街並みは大きく変わりました。砂利道がアスファルトになり、車も現代的なデザインに進化しています。
しかし、「食」はこれからも変わらず必要とされ続けるものです。お米作りを未来へ継承していきたいという思いを強く持っています。
ー「酒と食のフェスティバル」に来場される方に、「歓喜の風」の特徴と魅力を伝えてください。
「歓喜の風」は、あっさりとした味わいが特徴です。特に30代、40代の方に好まれる傾向があるお米だと思います。
ー最後に、御殿場市の魅力や、イベントに来場される方へのメッセージをお願いします。
御殿場は、海こそありませんが、美しい山々に囲まれ、空気も水も人も綺麗な場所です。
イベントにお越しの皆様には、ぜひ御殿場の食文化を楽しみ、好きになっていただきたいです。時間の許す限り、御殿場の魅力を満喫してください!