「富士山ごてんば丼祭り」開催記念企画【出店者インタビューvol.5】わさび農家 勝又孝道さん

「富士山ごてんば丼祭り」開催記念企画【出店者インタビューvol.5】わさび農家 勝又孝道さん

2024年10月28日
御殿場市でわさび農家を営む勝又孝道さん。

今回は、勝又さんにわさびと御殿場の魅力をたっぷりとうかがいました!

日本原産のわさびは、国内各地の山間地に自生しています。静岡市葵区の有東木地区にある佛谷山(ぶっこくさん)(通称わさび山)にも自生地があり、その野生のわさびを慶長年間(1596年~1615年)に同地区の「井戸頭」と呼ばれる湧水源付近に植えたことが、世界のわさび栽培の始まりとされています。

1607年、駿府城で晩年を過ごしていた徳川家康が、献上されたわさびに魅了され、同地区からわさびを持ち出すことを禁じたという言い伝えも残っています。

門外不出の御法度品となったわさびは、しばらくの間、有東木を出ることはありませんでしたが、18世紀の中期に伊豆地域へ栽培法が伝播し、1892年頃には、中伊豆の石垣づくりの石工技術者が「畳石式」と呼ばれる栽培方式が開発されました。

その後、静岡大学の星谷教授によって御殿場はわさび栽培に適していると推奨されたことをきっかけに、私の先祖が畳石式栽培を御殿場で始めました。

富士山の伏流水である御殿場の水は、硫酸イオン、マグネシウムイオン、ホウ素など ミネラルや栄養分を豊富に含んでいます。

これらを取り込んだ御殿場のわさびは、目詰まりし固く締まって形状が良く、おろした後も辛みや粘りが強く、香り良く甘みもあり緑色が濃いという高い評価のわさびに成長します。

また、御殿場の気候が冷涼であるため夏を超えることができることも特長です。保存しておいても辛味が飛びにくい、より良い品質のわさびに成長します。

御殿場産のわさびは、脂身の多い料理と特に相性が良く、マグロやローストビーフなどと合わせると、その風味が引き立ちます。

わさびをおろす際に使う「おろしがね」も重要で、鉄製のものは避け、変色を防ぐために他の素材を使っています。また、わさびの粘度が高いため、目が細かすぎない卸金を使う方が良いとされています。

御殿場でのわさび栽培の知名度を上げたいと願っています。

私の生産するわさびは、県外では高値で取引されており、品質の高さが評価されていますが、地元の御殿場市民の間ではあまり知られていないのが現状です。

今回の「富士山ごてんば丼祭り」にわさびを出すことで地元の人に御殿場のわさびは美味しいということを知ってほしいと思っています。

現在、「石畳式」や「北駿式」のわさび田を作る技術は失われてしまっており、栽培面積を増やすことは不可能です。自分のわさびが高く評価されていることに誇りを感じている一方、今後の発展には限界があると感じています。

そのため、今後は現状の品質を維持しながら、地域内での知名度向上を目指すとともに、わさびの価値をさらに高めるための取り組みを続けていきたいと考えています。

都会とは異なり、人が少なく、ゆったりとした時間が流れる御殿場の環境が気に入っています。こうした自然豊かな環境が、わさび栽培にとっても理想的であると感じています。

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